秋の風物詩 ススキ - 私に吹く風

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秋の風物詩 ススキ

 私の部屋の窓向こうに、そして通勤途中の車窓からも、否が応でも眼に入って来る。秋という季節を最も身近に感じさせるのがススキ(薄、芒)だ。ススキは昔から日本人の暮らしに無くてはならない重要な植物であった。あの分厚い草葺きには稲わらがかなり使われるが、わらだけでは強度が足りず、また腐食しやすいことからススキが大量に用いられた。萱とは、ススキの他にチガヤとかカルカヤなどを含めた総称である。何を隠そう、私が生まれたとき、萱葺の家であった。我が家は、昔、西日本では庄屋、東日本では名主、そして東北地方では肝煎(きもいり)と呼称された地元の有力者であったらしく、築百年を超えた風格ある茅葺の家だったというから驚く。むろん、私が3歳の頃に取り壊したそうであるから、どんな家だったのかは記憶の底にも浮かんで来ない。それでもススキには感慨深いものがある。
 ススキは、夏から秋にかけて茎の先端に淡黄色から赤褐色の花穂(かすい)をつけ、長い花軸に花序よく群がる。これを特に「尾花」と呼び、万葉集で山上憶良は、
 「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花 萩の花尾花葛花なでしこの花女郎花また藤袴朝がほの花」
と秋の七草の一つに挙げた。そのススキも、秋が深まるにつれ、花穂が白っぽくなり、少しの風にもなびくようになる。情趣漂う風情ある秋の野を想うとき、ススキの花穂が一斉になびく野が浮かぶ。その風景は儚げで、どこかもの寂しさを感じる。その一方で、花穂に陽光が射して逆光にススキ野原を見渡したとき、銀色の輝きに満ちた海原のようであり、それが実に美しい。ススキが秋の風情を感じるものとして尊重されているのも頷ける。
 ところで、古来より理知的な才女といわれる清少納言はススキをどう観ていたのだろう。『枕草子』で「秋の野の情趣漂う風情というものは、ススキ(薄)あってのものだ」と褒め称えてはいる。しかし、その直後に
 「ただし、秋の終わりには、全くもって見どころのないものになる。様々な色どりで思い思いに咲き乱れていた秋草の花が、跡形もなく散ってしまっているのに、冬の終わりまで頭がもう真っ白に覆われてしまったのも知らずに、昔の盛りの時を思い出して風に吹かれてゆらゆら立っている様は、人間の一生にとても良く似ている。そうしたススキ(薄)に重ね合わせる心があって、その事を特に、哀れと思うのであろう。」(私訳)
と述べた。ススキを白髪の老人に喩え、何を言わんとしているかは容易に理解できるであろう。清少納言の感性はやはり素直だからして鋭い。その眼差しにも、これまた頷ける。
 しかし、私たちにどのように見られようが、ススキは決して打ちひしがれることはない。冬の訪れが告げられたからといって、ススキにはそんな感傷に浸っている暇はないのである。枯れススキとなっても、厳しい寒さのなかで根元に新しい芽を準備している。次の春に向けてもう成長し始めているからである。それにライバルの外来種セイタカアワダチソウに負けてはいられないのだ。





 

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コメント
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秋の風情

こんにちは~~~♪

枕草子の中でも、秋は格別の趣をもって語られているように感じます。
秋の象徴をススキに感じられるのも、私も同じ想いでいます。

生き物が息をひそめるようにして耐え忍んだ夏が終わり、身の引き締まる冬到来までの、わずかな休息が、秋ではないかなと思います。

うちの集落は、今もススキで屋根葺きをいたします。
近くの山にはススキの群生地があるのです。

京都北部からも、その時は、『ゆい、てっつたい』に来られます。
方言で助け合いということでしょうか。

2016-10-26 11:35 from | Edit

こんにちは。

緑、そらいろ、黄金色に
はえるすすき。。。

素敵だと思いました。

こんな風に撮っていただけて
しあわせですね。

2016-10-26 17:49 from kei | Edit

窓さん こんばんは。

> 枕草子の中でも、秋は格別の趣をもって語られているように感じます。
> 秋の象徴をススキに感じられるのも、私も同じ想いでいます。
ススキについて秋の風情を詠った憶良の歌に、人生の儚さたる無常感を綴った枕草子を対比させて記事を書きました。清少納言にとっのてススキは秋の象徴などではなく、いわば無常観の象徴です。とても同じ想いとは思えませんが・・。

> 生き物が息をひそめるようにして耐え忍んだ夏が終わり、身の引き締まる冬到来までの、わずかな休息が、秋ではないかなと思います。
これまた異なこと。総じて植物は春から夏にかけて活発に生成の過程を辿る時期、それがどうして「息をひそめる」「耐え忍んだ」という表現になるのか。また、ススキは秋に花穂を盛りにつけます。それがどうして休息なのか。記事の最後に休息する暇がないのがススキであることも示しました。現実を直視し、それにふさわしい言葉で表現しましょうよ。

記事の内容とはまるで異なるコメントに真摯に返事させて頂きました。もし気に障ったのでしたら、ごめんなさいね。

2016-10-26 23:48 from 風人

keiさん こんばんは。

青空のもと、秋風になびくススキはとても美しいです(^-^)
私のススキに持つ幾つかのイメージをそれぞれ何とか撮れました。
ありがとうございます。

2016-10-26 23:54 from 風人

No title

ご訪問有り難うございます。
・・流れるような澱みのない名文拝読しました。
芒はまさに秋の象徴ですね。日本人の心の中にある秋ですね。

※ 大空を掃き清めてかススキの穂  つとむ

一句詠ませていただきました。ありがとうございました。

2016-10-27 18:39 from 走れ!でんどう三輪車

でんどう三輪車さん こんばんは。

こちお褒めの言葉を頂いて恐縮です。
澄み切った素直な心を喚起させる素晴らしい句ですね。
ありがとうございます(^-^)
私には歌心がなく、返句できないとことがとても残念です。



2016-10-27 22:01 from 風人

No title

日本の草葺の屋根にススキも使われていたんですね、それは知りませんでした。
フランスでも北のノルマンディーの方に行くと草葺屋根の家が今でも残っていて、独特な建築が目を引きます。

うちの庭にも5〜6年前にススキを植えたて立派に育ったのですが、今年は鹿が来てほとんど抜いてしまいました。
ススキは青空も夕日も、どちらにもよく似合いますね。(^^)

2016-10-29 03:04 from yoyo

yoyoさん こんにちは。

東北はススキの群生地なので、萱葺屋根に使われています。
もっとも茅葺屋根の家は見かけなくなりましたが・・。
鹿はススキまで好むんですね。知りませんでした。

2016-10-29 10:40 from 風人

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